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高級食パンブームが終わった理由、変な名前のパン屋も閉店ラッシュ

食パンを食べる女の子

一時期の熱狂が去り、街角からあの奇抜な看板が姿を消しつつあります。

「高級食パンブーム」はなぜ終わりを迎え、あのお店たちは今どうなっているのか。これまでの情報を整理してまとめました。


高級食パンブームが終わった理由

ブームの終焉は、単なる飽きだけでなく、社会情勢や消費者の価値観の変化が複雑に絡み合っています。

  • 原材料価格と光熱費の高騰:世界的な情勢不安により小麦粉、バター、生クリームなどの価格が跳ね上がり、1,000円前後の価格帯では利益確保が難しい店舗が増えました。
  • 家計の引き締めと節約志向:物価高に伴い、日常の食卓に並ぶパンを「1,000円の嗜好品」から「手頃な実用品」へ戻す消費者が増えました。
  • コンビニ・スーパーの進化:セブン-イレブンの「金の食パン」に代表されるように、安価でクオリティの高い「十分に美味しいパン」がどこでも買えるようになったため、専門店へ足を運ぶ動機が薄れました。
  • ブランディングの賞味期限:「ちょっとした贅沢」「手土産の定番」としてのポジションが定着しすぎて特別感が失われ、消費者の関心がカヌレやドーナツといった新しいトレンドへ移りました。

奇抜な店名や派手な看板は、最初は話題になりますが、リピーター定着よりも「一度行けば満足」という一過性の注目で終わってしまう傾向がありました。

高いお金を出してまで、「また食べたい」と思うリピーターが少なかったのも原因の一つと言えます。「一度は買いたい商品」だったが、「ずっと買い続ける商品」ではなかったのでしょう。


変な名前の高級食パン屋も大量閉店

ベーカリープロデューサー岸本拓也氏が手がけた、一度見たら忘れられない店名の店舗も、現在大きな曲がり角に立っています。

  • プロデュース店の現状:「考えた人すごいわ」「乃木坂な妻たち」といった有名店を含め、全国で閉店が相次いでいます(営業を続けている店舗もあります)
  • インパクト重視の限界: 奇抜な店名や派手な看板は、オープン時の集客には爆発的な力を発揮しますが、日常的に利用する「街のパン屋さん」としての安心感やリピート性には繋がりにくい側面がありました。
  • 撤退判断の早さ:これらの店舗は本部の直営ではなく、プロデュースを受けた個人や別法人が運営する形態が多く、赤字に転落した際の「損切り(閉店)」の決断が早いのも特徴です。

同じようなコンセプトの店が乱立し、消費者が「またあの奇抜な名前のパン屋か」と冷ややかな反応を示すようになったことも大きな要因と言えるでしょう。

岸本氏プロデュース店以外でも、最大手の「銀座に志かわ」が店舗数を140から50程度(2025年時点)まで大幅に削減するなど、業界全体が「適正規模」への縮小を続けています。


高級食パンと普通の食パンの違いはなんだったのか

そもそも、1斤100〜200円のパンと1,000円のパンでは何が違っていたのでしょうか。

  • 原材料の贅沢さ:従来のパンが小麦・水・塩といったシンプルな素材なのに対し、高級食パンは生クリーム、蜂蜜、練乳、高級バターをふんだんに使い、「お菓子に近い贅沢な風味」を追求しています。
  • 食感と製造工程:焼かずに食べる「生食」を前提とし、極限まで水分量を高め、耳まで柔らかく焼き上げる特殊な技術が使われています。
  • 価格の妥当性:原材料費は確かに高いものの、1,000円という価格の大部分は「ブランド料」「一等地での出店費用」「豪華な紙袋」「広告宣伝費」といった付加価値(体験コスト)が占めていたと考えられます。材料原価のみで考えると、800〜1,000円という設定はかなり高額であったと言わざるを得ません。

価格差の多くは「高級なパンを買っている」という満足感や、贈答品としての体裁を整えるためのコストに充てられていたというのが実情でしょう。


高級食パンの未来、これからどうなっていくのか

高級食パンは「日常の食事」としてではなく、あくまで「ギフトやご褒美」というエンターテインメントとして消費されたことで、ブームという形で一気に駆け抜けました。

現在は糖分たっぷりの白いパンだけでなく、全粒粉、米粉、低糖質など、毎日食べても罪悪感のない「健康志向」の高級パンへの需要が高まっています。「美味しいのは当たり前で、体に良い」という付加価値が選ばれる基準になっています。

「派手なパフォーマンスとしてのパン」から「生活の質を少し上げる実力派のパン」へと、成熟した市場になっていくでしょう。

一時期のようなお祭り騒ぎはありませんが、本当に美味しいパンが、より自然な形で私たちの生活に残っていくのは、パン好きにとってはむしろ良い変化かもしれません。

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