「物価の優等生」と呼ばれた卵の面影はどこへやら。2026年3月、スーパーの店頭で卵の価格を見て、思わず手を止めてしまった方も多いのではないでしょうか。
現在、鶏卵価格は過去最高値を更新し続けています。なぜここまで上がっているのか、そしていつになれば私たちの財布に優しい価格に戻るのか。最新の国際情勢と国内の現状から分析します。
卵の価格が高騰している理由
2026年3月現在、鶏卵の平均小売価格は1パック(10個入り)あたり309円に達しました。
これは過去5年の同時期の平均と比べ、約22%も高い水準です。この異常事態の背景には、3つの大きな要因が絡み合っています。
相次ぐ鳥インフルエンザと「供給の空白」
今シーズンも全国各地の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生し、大規模な殺処分が続いています。特に2026年1月には埼玉県などの主要産地でも発生し、市場に出回る卵の絶対数が圧倒的に不足しています。
一過性ではありますが、供給が元に戻るまでには物理的な時間がかかります。
ホルムズ海峡の封鎖によるコスト直撃
2026年3月初旬、中東情勢の緊迫化によりホルムズ海峡が事実上の封鎖状態となりました。これにより原油価格が一時1バレル120ドル近くまで急騰。
- 輸送費の増大: ガソリン代・軽油代の上昇が物流コストを押し上げています。
- 光熱費の負担: 鶏舎の温度管理(空調)に必要な電気・燃料代が生産者を圧迫しています。
足元の高騰の主因は鳥インフルエンザによる供給減で、ホルムズ海峡情勢は今後のコスト上昇要因として警戒されています。
配合飼料価格の「歴史的な値上げ」
日本の養鶏は、エサとなるトウモロコシ等の大部分を輸入に頼っています。
ホルムズ海峡問題による海上運賃の上昇と円安が重なり、JA全農は、円安や穀物相場、海上運賃の上昇を背景に、2026年4〜6月期の配合飼料価格を1トンあたり約1250円引き上げました。
この「エサ代ショック」が、卵の価格を下げられない最大の要因となっています。
いつになったら安くなるのか?予測
結論から言えば、卵の価格が落ち着きを取り戻すのは、早くても2026年の秋(9月〜10月頃)になると予測されます。
供給回復には「200日の壁」がある
全国各地の養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生し、大規模な殺処分が続いています。
特に2026年1月には埼玉県などの主要産地でも発生し、市場に出回る卵の絶対数が圧倒的に不足しています。
鳥インフルエンザで失われた鶏の数を元に戻すには、物理的な時間が必要です。
新しく雛を導入してから、安定して卵を産めるようになるまでには約200日(6〜7ヶ月)かかります。3月の不足分が解消され始めるのは、計算上、今年の秋口以降になると予想されます。
今後の懸念材料
ただし、以下の2点には注意が必要です。
- 地政学リスク: ホルムズ海峡の封鎖が長期化すれば、飼料代とエネルギー価格の高止まりが続き、供給が戻っても「価格は下がらない」というシナリオも考えられます。
- 猛暑の影響: 今夏が記録的な猛暑となった場合、鶏の産卵率が低下し、回復時期がさらに遅れるリスクがあります。
輸送ルートの変更や保険料の高騰による「物流コストの上昇」は、供給量が戻っても価格を下げにくくする(高止まりさせる)要因となります。
卵の価格の動向まとめ
2026年前半は、まだ卵の「高値圏」が続くと見て間違いありません。
家計を守るためには、卵の代わりになるタンパク源(豆腐や鶏肉など)を上手に活用しつつ、秋以降の供給回復を待つ忍耐が必要になりそうです。
鳥インフルエンザが収束しても、中東情勢という「コストの蛇口」が閉まらない限り、かつての「1パック200円以下」のような価格帯に戻るには少し時間がかかりそうです。
| 時期 | 予測される状況 |
| 2026年 春〜夏 | 高止まり。 供給不足に加え、エネルギー価格の上昇が家計を直撃。 |
| 2026年 秋 | 緩やかな下落の兆し。 春に導入された鶏が産卵を開始し、供給が回復。 |
| 2026年末以降 | 安定期へ? 中東情勢が沈静化し、物流コストが落ち着けば以前の水準へ。 |
