ここ数年、子どものSNS利用を法律で制限する動きが各国で強まっています。背景には、
- 依存(やめられない設計)
- いじめ・誹謗中傷
- 性被害・詐欺・闇バイト等の犯罪被害
- メンタル不調(睡眠・自己肯定感の低下など)
といったリスクが、保護者の体感だけでなく社会問題として扱われるようになっています。
一方で、SNSは「情報収集」「友人関係」「学習」などの利点もあり、全面禁止が最適解かは国によって議論が続いています。
海外の先行事例
オーストラリア:16歳未満の“アカウント保有”を実質禁止する仕組み
オーストラリアでは、SNSを「禁止」するというより、16歳未満がアカウントを持てないよう、プラットフォーム側に“合理的な措置”を求める形が特徴です。罰則の対象は子どもや保護者ではなく、事業者(プラットフォーム)側です。
- 対象は「年齢制限対象のSNS」に該当するサービス
- 一方で、メッセージング、オンラインゲーム、教育・健康支援目的のサービスなどは対象外とされる整理もあります
- 実施・運用の焦点は「年齢確認(Age assurance)をどうするか」で、ここが一番難しい論点になっています
アメリカ:州法で先行するが、憲法(表現の自由)との衝突が大きい
米国では州が先行して、年齢確認や保護者同意を求める法律が複数出ています。ただし、憲法上の表現の自由(First Amendment)との関係で、裁判で止まる例も出ています。
例:フロリダ州(未成年の利用制限)
フロリダ州では、未成年の利用に制限をかける内容が法律に盛り込まれています(条文上は14〜15歳に親の同意を求める等)。
ただし、これとは別に、州法の執行が裁判で差し止められたという報道もあり、運用は流動的です。
例:ユタ州(SNSそのものより、アプリストアに年齢確認を求める発想)
ユタ州では、SNS単体での年齢確認ではなく、アプリストア側に年齢確認と保護者同意を求める動きが話題になりました。
この方式は「各アプリがバラバラに年齢確認するより統一できる」という主張がある一方、プライバシー(全利用者の年齢確認が必要になる)が大きな争点になります。
子どもがSNSを利用する主な問題点
依存しやすい設計
SNSは「次々見たくなる」よう設計されがちです。短時間のつもりが長時間化し、睡眠不足や学習時間の圧迫につながります。
トラブルの種類が“複合化”している
- 誹謗中傷・いじめ(学校外でも続く)
- 性被害・グルーミング
- 詐欺・なりすまし・個人情報流出
- 闇バイトなど犯罪誘導
「有害情報を見ないようにする」だけでは守れないリスクが増えています(接触・誘導型)。
-
-
SNS禁止の問題点・副作用?「裏アプリ」や別サービスへの移動問題も
2026/2/18
心理面への影響
比較、承認欲求、炎上恐怖などがストレス要因になりやすく、保護者が気づかない形でメンタルを削ります。
親はどう制限するのが現実的か
「禁止」か「放任」かの二択にすると揉めやすいので、現実的には段階制限が強いです。
1) まずは“アカウント”より“機能”を制限する
- DM(知らない人とのやり取り)をオフ/制限
- 公開範囲(鍵アカ)をデフォルト
- 検索・おすすめ(レコメンド)暴走を抑える
- 位置情報、連絡先同期をオフ
日本でも、制度としては「フィルタリング」や安全利用環境整備を軸にしてきました。
2) 家庭ルールは“時間”より“場面”で決める
例)
- 食事中・就寝前は置く
- 宿題→自由時間の順
- 週末だけ長めOK など
「1日◯時間」だけだと、子どもは抜け道を探しがちなので、生活の優先順位で決める方が運用しやすいです。
3) “親が見張る”より“親が一緒に設計する”
- なぜ制限するか(危険の種類)を共有
- 破ったときの対応を先に決める
- 定期的に見直す(成長で緩和もする)
日本で実施される可能性はある?
現時点で日本は、オーストラリア型のような全国一律の年齢禁止よりも、
フィルタリング+リテラシー+事業者の自主対応を軸にした枠組みが中心です。
ただし、2026年に入って、こども家庭庁がSNS規制の必要性を議論する作業部会を設置し、法改正も視野に検討する、という報道が出ています。
日本では広島県がフィルタリング条例を施行しているものの、実際の有効活用率は32.1%と低いのが実情です。
参考ページ(広島県公式):https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/638668.pdf
今後の現実的な方向性としては、
「一律禁止」よりも
- 年齢確認の強化
- 保護者同意や安全設定の義務化
- 依存性の高い設計の規制(中毒性デザインの抑制)
といった“段階的な規制”に寄っていく可能性が高いです(ただし、具体化はこれからという段階です)