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子供を産みたくない女性が増加する背景、妊娠前からのサポートの現状

妊婦

2026年3月に発表された調査結果(ロート製薬「妊活白書」)で、将来子供を欲しくない未婚女性の割合が64.7%と過去最高を記録し、初めて男性を上回りました。

この衝撃的な数字の裏にある社会背景と、今求められている「産む前からの支援」についてまとめます。「育休などの制度はあるが、そこに至るまでの『準備・決断』へのサポートは極めて手薄」なのが現状です。


なぜ子供を産みたくない女性が増加しているのか?

「女性が男性を上回った」という逆転現象は、これまでの少子化対策が「女性の負担軽減」にリーチできていなかったことを浮き彫りにしています。

  • 経済的な不透明感: 物価高や社会保険料の負担増に加え、住宅ローン金利の上昇などが重なり、「自分の生活を維持するだけで精一杯」という現実的なハードルが高まっています。
  • キャリアへのサンクコスト: 20代・30代で築き上げたキャリアを、出産による「ブランク」や「マミートラック(昇進からの除外)」で失うことへのリスク意識が非常に強くなっています。
  • 「自己」の尊重とQOL: 趣味や自由な時間、自己研鑽を重視する価値観が定着し、子供を持つことが「自分らしさや自由の喪失」に繋がると捉える層が増えています。
  • 育児の過酷な可視化: SNS等を通じて「ワンオペ育児」や「睡眠不足」などの過酷なリアルが容易に知れるようになり、かつての「子供がいて当たり前」という盲目的な憧れが消退しました。

かつての「理想の家庭像」への憧れよりも、現実的なリスク回避が優先する傾向があります。


現在のサポートが「少ない」と言われる実態

厚生労働省の令和5年度調査では、不妊治療の支援制度等がある企業は26.5%にとどまります。

  • 「事後支援」への偏り: これまでの少子化対策は「育休制度」「保育所の増設」など、子供が産まれた後の支援に集中しており、産むか悩んでいる段階の層にはリーチできていません。
  • 企業の制度導入の遅れ: 不妊治療の休暇制度や費用補助を持つ企業は依然として3割以下に留まっており、「治療と仕事の両立」が物理的に困難な環境が続いています。
  • 情報の孤立化: 自分の体の状態(卵巣予備能など)を正しく知る機会や、キャリアと妊活を並行して計画するための公的な相談窓口が不足しており、個人の判断に丸投げされている状態です。

「授かる前からのサポート」の具体例

一部の先進的な企業や自治体で、授かる前からのサポートが始まっています。

  • プレコンセプションチェックの助成: 将来の妊娠に向けた健康診断(AMH検査や風疹抗体検査など)の費用を、自治体や企業が補助し、早期の健康管理を促す仕組みです。
  • キャリア・ライフプランニング支援: 20代・30代の従業員に対し、専門家が「キャリア形成」と「妊活」の両立を一緒に設計する面談やワークショップの提供です。
  • 卵子凍結への公的・私的補助: キャリアの重要な時期に備え、将来の選択肢を残すための卵子凍結費用をサポートする動き(2025年以降、東京都などで拡大中)です。
  • 男性側の意識改革と検査: 妊活を「女性だけの問題」にしないよう、男性向けの精液検査キットの配布や、不妊に関する知識啓発を職場単位で行う支援です。

全国どこでも、どの会社でも受けられるような「当たり前の制度」にはまだ至っていません。


子供を産みたくない女性が増加する背景まとめ

このデータが示す通り、2026年現在は「産んだ後の手当」を増やすだけでは、女性の意識を動かすには不十分なフェーズに入っています。

正しい知識がないまま30代後半になり、いざ望んだ時には不妊治療が必要で、仕事との両立が物理的に不可能(通院回数の多さなど)になるというパターンも多いです。

キャリアを諦めずに選択肢を確保できる「産む前からの土壌づくり」が、社会全体の急務と言えるでしょう。

こども家庭庁では、2025年に『プレコンセプションケア推進5か年計画』が公表され、2026年現在はようやく自治体や企業が「産む前から支える」という概念に本腰を入れ始めた転換点にあります。

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