公文式(KUMON)の最大の特徴といえば、学年に縛られずどんどん先に進める「先取り学習」ですよ。方程式をスラスラ解く小学生を見て「うちの子も!」と思う反面、「弊害はないの?」と気になる親御さんも多いはず。
小学生で中学内容、場合によっては高校レベルまで進む子もいます。
では、先取り学習は本当に意味があるのでしょうか。
小学生の頃に高校までの勉強を終わらせたからといって、偏差値の高い高校や大学に入れるとは限りません。
公文式の先取り学習における光と影を、分かりやすく整理しました。
公文式の先取り学習とは
公文式は、
・個別進度
・反復学習
・計算・読解の基礎力強化
を軸にしています。
理解度に応じてどんどん進むため、学年に縛られません。
小学校低学年で高校3年生までの学習を終了する子供もいます。
先取り学習のメリット
公文式のシステムは、ハマれば最強の武器になります。
- 圧倒的な計算力と自信の向上 計算スピードと正確性が劇的に上がります。「自分は周りより進んでいる」という感覚は、子供にとって大きな自信になり、算数・数学への苦手意識を未然に防ぎます。
- 「自学自習」の習慣が身につく 教わるのではなく、例題を見て自分で解き進めるスタイルなので、未知の問題に対して「まずは自分で考えてみる」という自律的な学習姿勢が育ちます。
- 学校の授業に余裕ができる 学校で習うときには「すでに知っている状態」なので、授業内容の理解が深まり、他の教科や行事、習い事にリソースを割く余裕が生まれます。
- 中学・高校受験の基礎固め 早い段階で計算などの基礎を終わらせておくことで、受験塾に転塾した際、複雑な応用問題や思考力を問う問題に集中できる土台が整います。
先取り学習のデメリット
一方で、進め方を間違えると「作業」になってしまうリスクもあります。
- 「計算マシーン」化するリスク 計算の手順だけを覚えてしまい、「なぜその式になるのか」という概念の理解が疎かになることがあります。図形や文章題に直面した際、途端に手が止まるケースも少なくありません。
- 学校の授業を軽視してしまう 「もう知っている」という油断から、学校の先生の話を聞かなくなったり、授業を退屈に感じてしまったりすることがあります。これが学習態度の悪化につながる懸念があります。
- 「公文の進度」が目的化する 先の教材に進むこと自体が目的になり、定着していないのに無理やり進めてしまうと、どこかで大きな壁(特に分数や正負の数など)にぶつかり、一気にやる気を失う「公文スランプ」に陥ることがあります。
- 思考停止のパターン学習 ひたすら反復練習を繰り返すため、粘り強く試行錯誤して解くような、いわゆる「地頭」を使う問題への耐性がつきにくいという指摘もあります。
どんな子に向いている?
向いているのは、
・コツコツ型
・反復が苦にならない
・計算力を強化したい
タイプです。
逆に、
・好奇心型
・議論や探究が好き
な子には、他の学習法との併用が有効です。
「意味があるか」は何を目指すか次第
先取り学習は、
・基礎固め
・処理能力向上
には効果的です。
しかし、
・思考力
・探究力
・創造性
まで自動的に育つわけではありません。
目的に合っているかどうかが重要です。
この記事の筆者も小学生の時点で高校3年生分の学習は修了しましたが、高校生時点では偏差値50ほどの平均的な学力になりました。
保護者が意識したいこと
① 進度より理解度
「どこまで進んだか」より「本当に理解しているか」を見る。
② 他の学習とのバランス
読書・体験活動・探究学習なども取り入れる。
③ 子どもの様子を観察する
・楽しんでいるか
・義務になっていないか
を定期的に確認します。
公文式の先取り学習のメリット・デメリットまとめ
| 項目 | メリット | デメリット |
| 精神面 | 「できる」という強い自己肯定感 | 進度が停滞した時の挫折感が大きい |
| 学力面 | 基礎計算のスピードと正確性が抜群 | 文章題、図形、論理的思考力が弱点になりやすい |
| 学習姿勢 | 毎日机に向かう習慣ができる | 単調な作業に飽きて「こなすだけ」になりがち |
| 学校生活 | 授業の理解を助け、精神的余裕を生む | 授業への関心が薄れるリスクがある |
先取りが目的になるのではなく、「何のために学ぶのか」を軸に選ぶことが大切です。
公文の先取りは、「計算という道具を早めに手に入れること」と割り切って使うのがコツです。
計算が楽になれば、その分空いた時間で読書をしたり、パズル的な思考問題に挑戦したりして、公文がカバーしにくい「読解力」や「思考力」を補うのが理想的な活用法と言えるでしょう。
